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執筆者の写真大橋美加

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選

1970年代の”名画座少女”を開眼させたニュー・ジャーマン・シネマ!

その鮮烈な記憶は時が流れようとも消えることはない。

なかでも夭折してしまったファスビンダー作品は、

封印された箱のように、心にしまい込まれたままであったのだから。


センセーショナルな女性映画としてヒットした『マリア・ブラウンの結婚』。

敗戦後のドイツを生き抜いたヒロインの矛盾に満ちた人生を

華やかに演じきったハンナ・シグラは、一躍脚光を浴びた。

トルマリン色の大きな瞳と魅惑的な肢体は、色褪せることはない。


思わずぞっとするタイトルをもつ『不安は魂を食いつくす』は、

夫を失くした60代のドイツ人女性と

20歳以上若いモロッコ人労働者との恋を淡々と描く。

すぐ目のまえで演じられる優れた舞台劇の如く、

観客の目をそらさない臨場感あふれる力作。


本邦初公開となる『天使の影』は、ファスビンダーの戯曲『ゴミ、都市そして死』を、

親友ダニエル・シュミット監督が映画化した問題作。

シュミット作品も名画座を巡って観たが、今回パンドーラの箱を開けることに!

災厄を孕んだ言葉の洪水のあとに、希望を見いだせるか?


オーヴァー・ドープで37歳の生涯を閉じた稀有なシネアストが遺した作品を

追体験する悦びが映画ファンにはある!


©Rainer Werner Fassbinder Foundation 7月28日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか 全国順次公開ロードショー

配給:マーメイドフィルム/コピアポア・フィルム

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