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No.34『雨のニューオリンズ』

更新日:2023年6月7日

1966年 アメリカ映画 シドニー・ポラック監督 (The Property is Condemned)

今は亡き我が父・巨泉とは、よくジャズや映画の話をした。 父は英語が堪能であったため、英語圏の映画贔屓であった。

そんな折、 「最近の映画配給会社は少し怠慢だな。 原題をそのまま片仮名でタイトルにするなんて」と言ったことがある。

キューブリックの『アイズ・ワイド・シャット』が公開されたころだ。

「美加ちゃん、”EYES WIDE”とくれば”OPEN”だよ、 日本語題名を作らなきゃいけない」

今回、本作を観かえし、『雨のニューオリンズ』と 邦題をつけたのは誰であったかと想像をめぐらせた。

原題を直訳すれば、ダブル・ミーニングを加味すれど、 「財産没収」だもの!

物語はアメリカ南部の寂れた町から始まる。 鉄道従業員たちを相手に宿屋を営む母と二人の娘。

長女アルバに扮するのはナタリー・ウッド。 4歳から映画出演し、『ウエストサイド物語』(’61)で ヒロインを演じてから5年後の作品。

けばけばしい化粧と安っぽいドレスも、 若く美しい姿態の威力で欲目となる。


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姉の美貌に憧れと反発を感じる妹ウィリーに扮するのは 傑作『アラバマ物語』(’62)のスカウト役で知られるメアリー・バダム。

そして、鉄道従業員調査員として、 ニューオリンズからやってくるオーエンに扮するのは、 大スターになる前のロバート・レッドフォード。

体当たりのナタリーと、彼女に翻弄されるレッドフォード。 母と長女の愛憎、姉妹の葛藤、女たちをこれでもかと貶める

テネシー・ウィリアムズの戯曲に、職人ポラックはオブラートを被せたか。

ナタリー・ウッドは決して好きな女優ではないが、 この時代、このアルバ役はほかの誰が演じられただろうか。

主題歌”WISH ME A RAINBOW”ほか、”JUST ONE MORE CHANCE”など、 ディキシーランド・ジャズも遠くから聞こえてくる。

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