イラン映画界の"つわもの”ジャファール・パナヒ監督の長男
パナー・パナヒのデビュー作と聞けば、
観ないわけにはいかない!
ファースト・ショットの”画づくり"に流石と膝を叩く。
縮れ髪の愛らしい男児が、白いギプスの面に描かれたピアノの鍵盤を指でなぞっている。
何と映画的なショットだろうか!
狭い車中に見えてくるのは、運転する若者、
助手席には嘗ての美貌の名残りを湛える母親。
後部席には脚にギプスを嵌めデンと動かない父親、
そして車中狭しと動き回る末っ子。
この一家は、何処へ行くのだろうか。
カーラジオから、古い歌謡曲が流れてくる。当て振りする母親。
オマセにも腰をくねらせて踊る末っ子。険しい顔で居座る父親。
不安気な眼差しでハンドルを握る若者。
親にとり、我が子との別れほど辛いことはないが、
愛すればこそ、我が子により良い暮らしをさせたいと願うのもまた、親である。
この国にいる限り幸せになれないと決意した親と、
見知らぬ世界への旅に不安を隠せない長男、
何も知らない無邪気な末っ子。
母国イランに対する反逆者としての道を選んだ
父ジャファール・パナヒとはまた別のアプローチで、
作品に人生を塗り込めていって欲しいジュニアの第一歩。
映画ファンならどうか観とどけて欲しい! 8月25日(金)より
新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか
全国順次公開
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