大橋美加のシネマフル・デイズ
1972年 スウェーデン映画 イングマール・ベルイマン監督
(Cries and Whispers)
”サ”から始まる手持ちのDVDを整理したところ、74作あり、
まずは、ベルイマン作品から観かえそうと思う。
19世紀末、スウェーデン上流階級の邸宅。
朝靄の庭園に、まさしく”ANGEL’S LADDER”が掛かっている。
病床に伏す次女にハリエット・アンデルセン、
裕福な夫との潤いのない暮らしを送る長女にイングリッド・チューリン、
やさしく寛容に見える三女にリヴ・ウルマン。
ベルイマン組の演技派美人女優が揃い踏み!
ベルイマン作品は”ア”の項で『秋のソナタ』(’78)『ある結婚の風景』(’73)
”オ”の項で『女はそれを待っている』(58’)を観なおしたが、
こわいくらいに女の本質をえぐる脚本に、思わず後ずさり。
中途半端に女を描かれると「冗談じゃない」と言いたくなるが、
ベルイマンなら文句も出ない(笑)
生涯に五人の妻ほか、愛人たちと暮らし、
有り余ったであろう愛憎を微塵も無駄にせず、
映画のなかに練りこんでいるのだから…
”赤”は、女にしか流せない血の色。
夥しい”赤”に塗りこめられた、愛を渇望する女たちの生と死の物語。
四人目の女に扮したカリ・シルヴァンの小動物の如き眼差しと大きな肉体も忘れがたい。
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