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No.263『サン★ロレンツォの夜』

更新日:2023年3月25日

大橋美加のシネマフル・デイズ

1982年 イタリア映画 パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督

(La notte di San Lorenzo )


悲劇は待つものでも、覚悟するものでもない。

戦争という大きな悲劇の只中にいた人々は、

その瞬間に何を想ったのだろうか。


タヴィアーニ兄弟の作品は、”カ“の項で『カオス・シチリア物語('84)、

”ク“の項で『グッドモーニング・バビロン』('87)を紹介したが、さらに遡る一作。

第二次世界大戦末期1944年夏、イタリア・トスカーナ地方の村。

ドイツ軍から逃れるため、住み慣れた我が家と別れを告げる村人たち。

新婚カップルのあどけなさの残る身重の妻、毅然とした名家の老婦人、

賢い長老、多感な若者たち、そして単身の母に連れられた6歳の少女チェチリア。



子どもの目線で描かれる反戦映画は数あるが、

チェチリアの大人びた顔つきは、

ルネ・クレマン作『禁じられた遊び』('52)のポーレットの三枚目版といった風情で、

ふざけた顔をしても観客は笑えない。

いたいけな童顔の少女を選ばなかった監督の意図を感じる。


悲劇のさなか、幻想は最強である。子どもの幻想、大人の幻想。

幻想に包まれて死ぬ者、幻想に護られて生き延びる者。


オメロ・アントヌッティとマルガリータ・ロサーノ、

二人の名優の慎ましいラヴ・シーンは何度観ても涙…!

星空で始まり閉じる、美しくも血の通った反戦の寓話である。

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