大橋美加のシネマフル・デイズ
1989年 英・仏合作映画 ピーター・グリーナウェイ監督
(The Cook,The Thief,His Wife&Her Lover )
グリーナウェイ・ワールドにハマった映画マニアは、少なくないはず。
総合芸術である映画は、重点の置きどころにより大いなる変容をもたらす。
グリーナウェイは”シンメトリー“にこだわった。
彼の作品中でもっとも過激でありながら、マニア以外にも知られるのが本作ではないか。
暴力・セックス・飽食に満ちあふれ、舞台劇の装置を想わせるセット撮影に於いて、
この上なく映画的な美しさをも見せつける、まさにアンビヴァレントな世界。
さらに色彩の仕掛けと、ジャン=ポール・ゴルチエによる奇抜な衣裳が追い打ちをかける!
サウンド・トラックは名コンビ、マイケル・ナイマン!
コックにリシャール・ボーランジェ、泥棒にマイケル・ガンボン、
その妻にヘレン・ミレン、愛人にアラン・ハワード。
下卑た悪党の手本の如く全身で演じきるガンボンが強力!
のちのハリー・ポッター・シリーズの校長先生とはねえ!別人!
この後”DAME”の称号を授かり、エリザベス女王役も演じることになるヘレン・ミレンの
体当たりの40代ヌードも、いま観なおすとドギマギせざるを得ない。
いやはや、脳内は’80年代にワープ、再度グリーナウェイに侵略されてしまった!
『ZOO』(’85) 『建築家の腹』(’87)
『数に溺れて』(’88)ほか、10作近く観てきたが、
現在VHSでしか所有なし!観なおしたくてぞくぞくしてきた・・・
Kommentare