1993年 仏・米 合作映画 エミール・クストリッツァ監督
(Arizona Dream)
たいそうな”ご贔屓”というわけではないが、 作品を見逃したくない映画作家が、何人かいる。 1954年、サラエヴォ生まれのクストリッツァもその一人。 陽気で生気にあふれた人々を、 強烈な音楽に乗せて追い回す彼の作品群は、 諄さも否めないが、みなぎる生命力をもらえる。 彼がハリウッド・スターたちを起用し英語で制作した 『アリゾナ・ドリーム』は、 確かにクストリッツァ・ワールドからはみ出しているが、 若く美しいジョニー・デップ、 エキセントリックな役が似合うフェイ・ダナウェイ、 そしてアメリカ映画史上の名コメディアンで才人のジェリー・ルイス唯一の共演作という意味で、 一見の価値ありと、選んでみた。 うわあ、公開時から27年ぶり!
アラスカのイヌイットがオヒョウの胃袋で拵えた赤い風船が空を漂っていく。 ジョニーが扮するニューヨークの漁業局で働く素朴な若者は、 故郷アリゾナへ向かい、風変わりな人々と関わる羽目に。 主人公の夢と幻想が入り混じり、観客もまた悪夢に引きずり込まれてゆく。 さすがのクストリッツァもアメリカを持て余し気味だが、 イマジネイションを刺激する画は多々あり。
才人ヴィンセント・ギャロ扮する映画マニアの男が繰り広げる ヒッチコック作品『北北西に進路を取れ』のパロディには大笑い! クストリッツァの傑作『アンダーグラウンド』、 ギャロの名作『バッファロー’66』も、観なおしたくなったぞ~!
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