1962年 アメリカ映画 ロバート・マリガン監督 『アラバマ物語』
(To Kill A Mockingbird)
想い出は色がなくても美しい。 子どもの鼻歌が聞こえ、小箱の蓋を開ける小さな手。
コイン、ビー玉、懐中時計、木彫りの人形などなどが入った箱の俯瞰。
クレヨンで紙に落書きしてゆくと、文字が浮き上がる。 TO KILL A MOCKINGBIRD
何て素敵なファースト・ショットだろう! 何度観ても飽きないどころか、もう一度観たくなる。
舞台となるのは1932年アラバマ州の小さな町。 画面に飛び込んでくるショート・ヘアにオーヴァーオール姿の ”スカウト”と呼ばれる6歳の少女。
2歳で母を亡くし、弁護士である父と 10歳の兄ジェムと暮らす、おてんば娘らしい登場の仕方。
根強い人種差別の残る田舎町で、 黒人青年の弁護を引き受けることとなる 父アティカスを演じるのは、グレゴリー・ペック。
幼い子らの疑問・質問に、常に穏やかにわかりやすく 諭していくアティカス。 この名前は、”スーパーマン”も敵わないヒーローの名。
ああ、アティカスの膝で眠りたい!
モノクロームの映像はノスタルジック且つ幻想的、
本作を観れば、二度と戻れない子ども時代に、いつでも戻れる。
世の中は思い通りにはいかないが、 「常に相手の立場で考えるように、ものまね鳥を殺してはいけない」
そうね、アティカス、皆がそうできたらね・・・
少なくとも5回は観ている作品だけれど、
自粛の日々にまた観なおして良かったなあ。
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