2000年 メキシコ映画
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督
(Amores Perros)
イニャリトゥが母国メキシコ時代に作った原点とも言える一作。 疾風の如く、返り血を浴びて滑り出す冒頭! 原題をそのまま片仮名にしたタイトル、 意味は”犬のような愛、惨めな愛”という。
いくつかのプロットが説明なしに別途に描かれ、 何処かで繋がっていくというつくりは、 優れた群集劇に存在し、 往年のロバート・アルトマンから、 近年のポール・ハギス、 ひいてはあのイエジー・スコリモフスキ作品にさえ見られ、 珍しいことではないが、 本作はテーマが”犬”(perros)であるということ、 これはたぶん、類想がない。
兄嫁に惚れてしまい、闘犬で金を作ろうとする弟。 不倫の恋がやっと実ろうとしている犬好きのスーパー・モデル。 たくさんの犬を引き連れた謎めいた老人。 三つのストーリーがそれぞれの速度で進んでゆく。
本作でオカボレ弟に扮したガエル・ガルシア・ベルナルは 国際的スターとなり、イニャリトゥは今ではオスカー監督となり、 今後の映画界を背負って立つひとりに。 彼の紡ぎだす物語には、決して癒せぬ痛みがある。 そして、それでも生き続ける人間の宿命を突きつけてくれるから、 魂に訴えかけるのだろう。
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