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No.6『あの夏の日 ー とんでろじいちゃん ー 』

更新日:2023年4月12日

1999年 日本映画 大林宣彦監督 

おじいちゃんの眼鏡をかけた。 目の前にある巨きな橋やフェリーが消え、海だけが見えた。 「橋のありがたさを人は忘れる、だから元気な人は泳いで渡ればいい」と、 おじいちゃんは言った。 名優・小林桂樹が扮した白い夏帽子に単衣の着物姿のおじいちゃん。 麦わら帽子の孫息子に扮したのは、大林監督が見出した 天才子役・厚木拓郎。撮影当時9歳。

目を閉じて、息を止めて、おまじないの文句を唱えれば、 おじいちゃんとなら、空を飛べる。 ”祖父”という存在を知らずに育った私にとって、 何度観ても涙があふれるシーン。

とんでろじいちゃん.jpg

大人への扉をすこしだけ覗くのは、夏。 年上の少女の肌にときめくのも、夏。 こんな映画を作れるひとが、ほかにいるだろうか。 2020年の夏を見ぬままに、大林監督は逝ってしまった。 私にとっての”心の父”、 作品に出演させていただいた我が子らにとっても ”第三の祖父”のような、大きすぎる存在であった。 でも、監督が遺してくれた宝もののような映画を、 私たちは観つづけることができる。

時世により公開延期となった 監督の遺作『海辺の映画館 キネマの玉手箱』は、 大人になった拓郎くんも出演している ”ファンタスティックな反戦映画”である。

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